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ビールは強壮薬


エジプトではビールが強壮薬に使われていました



■世界で最も古い文書
長さ20.7メートル、幅30.5センチのこの巻物は、「エーベルスのパピルス文書」と呼ばれ、エジプトの至宝の一つに数えられています。ドイツのエジプト学者ゲオルク・エーベルスが、現地の住人から買い取ったこの巻物は、一説によると、1862年に発見されたものといわれています。
テーベで発見されたミイラの両膝の間に差し込まれてあったと 現地のアラビア人が持ち込んできたその巻き物には、ビールが強壮薬に使われていたという古い記録が記されていました。

■強壮薬 死を防ぐ喜ばしい薬
この巻物が書かれた年代は、紀元前1552年頃と推定されていますが、最近の学者の中には、巻物に書かれた薬の知識は 紀元前2600年頃のものであり、ギゼのピラミッドがつくられた時代に書かれた知識を 書きうつしたらしいとみている人もあります。
巻き物の中には、病気を追い払うためのいろいろの魔除けや祈りの記録と、薬に用いるたくさんの材料とともに811種もの薬の調合法が述べられています。
そのなかで、ビールに葡萄酒や、イースト、イチジク、アッシリアのスモモ、鵝鳥の脂などをまぜて練ったものが、強壮薬としてとりあげられ、ビールの泡とタマネギ半個をいっしょにしたものが、死を防ぐ喜ばしい薬とされていました。

■カスから酵母へ
エーベルスの文書には、「ビールの泥」または「ビールのカス」という言葉が何度も現れます。
エジプトの医者は、ビールを内科系疾患の薬として使ったほか、ビールのカスそれ自体が重要な薬であるとして、やがて「カス」とは呼ばず「酵母」という意味の言葉で呼ぶようになりました。

■酵母の働き
初期のパピルス研究者達は、パピルスの記録の中に、ビールの酵母が消化不良をなおすだけでなく、腫れものにも効く飲み薬であると書いてあることに、ほとんど注意を払いませんでした。当時は酵母にそのような働きがあることが ほとんど知られていなかったからです。しかしエジプト人達は、遥かな昔から、それを塗り薬にして用いることを知っていたのです。
このような素晴らしい効能は、その後科学が発達して、酵母にビタミンBがふくまれていることが発見されてから、にわかに学者達の注目を集めるようになりました。

■酵母の効果
研究が進むに従って、酵母の中には抗生物質がふくまれていて、とくにセツ(化膿菌が毛嚢や皮脂腺に感染することによって生じる皮膚の局部性の炎症)の多発を防ぐ役目をはたすことがわかってきました。
今日の科学者達が抗生物質や、培養したカビで伝染性の病気を防ぐことを知る数千年以上も前に、古代エジプトの医者達は経験だけで、そのことをさぐりあてていたのです。

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