第八章 近世の伊丹の姿
〜発掘でみる有岡城〜
川口 宏海

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     (6) 写真(18)埋甕―第二七次調査区
 それからもう一つ甕が埋められた遺構が写真(18)です。この甕は備前焼の大甕で、非常に大きな、人間が丸々入るぐらいの甕です。三つ並べられて、埋められておりました。それから池状の遺構がございました。甕には何を入れていたのか、これもいろいろ言われているんですが、非常用の水であるとか、あるいはお酒であるとか、あるいは備蓄用の米であるとか。この甕は中身がなくてわかりませんでした。先程言い落としましたけれども、本丸の調査をした時に、そういう炭化米、焼けた米ですね。あるいは粟、そういったものが出ております。これは、籠城に備えたための食料かと思いますが、これも確保していたようです。

     (7) 写真(19)区画溝―第三五次調査区
 写真(19)は、第三五次調査区の先程申し上げました溝ですね。上方の堀に当たるように、溝がある。溝によって、右側(北側)と、左側(東側)を分けております。右側の区画では井戸がありまして、この井戸が有岡城の時代の井戸です。この井戸からも、焼け土が出ておりますし、中から出土した遺物も、有岡城の時代のものがたくさん出ております。

     (8) 写真(20)地じ鎮しずめ―第二七次調査区
 写真(20)は、埋められていた壺なんですが、これも備前焼の壺です。この中からは土は師じ質しつ土ど器きと呼んでいる素焼きの直径が五、六センチの小さいお皿が全部で一一枚。それからその当時のお金、「永楽通寳」や、「元豊通寳」が全部合わせて四枚出てきました。わざわざ壺の中にお皿とお金を一緒に埋めている。こういう行為で考えられますのは、一つは地鎮祭です。「地じ鎮しずめ」といいますけれど、建物を建てる時にするお祭りです。もう一つは、最近わかってきたことなんですが、「胞え衣な壺つぼ」といいまして、人間が生まれてくる時は胎盤も一緒に出てくるんですが、これを粗末に扱ったら駄目だというので、壺に入れて家の下などに埋める。この二つが考えられるんです。この場合はおそらくは、屋敷の建物の下に当たると推定されますので、いわゆる地鎮祭として埋めたのではないかと考えております。これを区別するのは難しいんですけれども、だいたいお金を四枚とか五枚とか入れます。お皿には、五穀を入れまして、そしてお祭りをする。今の地鎮祭もそうですね。考えてみますと、長い間私達は同じことをやっているんですね。余談になりますけれども、日本人に限らず、そういう風習というのは月にロケットが飛ぶ時代になっても同じことをやっているんです。考えてみたら非常におもしろいですね。皆さんのお家にも神棚があって、お参りしたりされているかと思いますが、人間というのは不思議なものです。


     (9) 写真(21・4)鉄砲玉と瀬戸美濃焼皿
―第二三次調査区SF〇一出土
 下の写真(21)は出土品なんですが、先程も写真を見ていただきましたが、それ以外に堀の中からちょっと珍しい鉄砲玉が二個出ております。白くなっておりますけれども、鉛製の鉄砲玉です。だいたい直径が約一センチぐらいです。こんな小さいものよく見つけたなあ、と今から思うのですが、合戦のあったお城では時々出ております。下のものはちょっと潰れているのがわかりますでしょうか。たぶん発射されて、物に当たって潰れたんだと思います。それで、実戦に使われたということがわかります。鉄砲が伝わりましたのが一五四〇年代で、最初に種子島に伝わりました。有岡城の戦争がありましたのがそれから三〇年ぐらい後ですから、十分鉄砲を使っています。信長は鉄砲をたくさん使ったことで有名ですから掘ればもっとたくさん出るだろうと思います。写真(4)は岐阜県の美濃で焼かれた焼き物です。


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