表紙



 小西家二代目宗宅が江戸へ酒樽を運ぶ途中、雪をいただいた富士山の気高さに感動して、『白雪』と命名して以来、歴代当主はこの『白雪』の由来を誇りにし、且つ、大切にすると共に、「富士の山」に特別の思い入れを致して参りました。

 私も第十四代新右衞門の襲名以来、見るたびにその姿を変容させ、ときに雄々しく、ときに優美に立ち現れる霊峰富士の無限の魅カに思いをいたして参りました。平成三年、会長に収まったのを機に、仕事からの帰途、久し振りに出掛けた忍野村(おしのむら)の二十曲峠で、沸き立つ雲を従えた壮大な富士山の姿に感動し、撮影した一枚の写真が、写真への思いをたぎらせるきっかけとなり、創業以来四百四十有余年、縁の深い「富士」との出会いを取り持ったのでございます。亡くなった家内も富士山をこよなく愛していたこともあり、それからは旅や出張の折々に富士山を撮り続けて参りました。

 泰然自若としながらも、雲をよび、光を宿し、千変万化する富士。人に映しだされてもまた千差万別。二度と同じようには現れず、つねに何らかの感慨を抱かせずにはおかない富士は、やはり不思議な山であると思います。

 ルピナスの花の咲く六月に、この季節には珍しい新雪で、一夜にして姿を一変し、神々しいまでに白く輝いた富士。夜明け前の暗闇をまるく茜色に染めて、今まさに太陽が昇ろうとする黎明の富士など。どの富士との出会いも、感動に満ちた絶好のシャッターチャンスを私に与えてくれたのでございます。

 歴代当主の富士山への強い思いを感じながら、富士山の語りかける言葉といったものを、写真に表現できる事を念じつつを続けて参り、私と霊峰富士との特別な縁をいまさらながら感じると共に、感慨をより深くしたものでございます。

 創業四百四十五年の節目を迎え、ここに、これまで撮影して参りました「富士」の中から八点を自薦いたしました。つたない作品ではありますが、私と富士との縁(えにし)をご高覧いただければ幸甚に存じます。

平成八年一月吉日

    小西酒造株式会社                             代表取締役   小西新右衞門
                                                  会    長

写真1
茜富士(本栖湖)
写真2
富士秀麗
(忍野・天然樹海)
写真3
湖映富士(河口湖)
写真4
富士とルピナス
(忍野八海)
写真5
笠雲富士(精進湖)
写真6
ダイヤモンドリング
写真7
飛雲富士(櫛形山)
写真8
黎明富士(田貫湖)
写真9
赤富士
写真10
富士光芒
写真11
写真12
写真13
写真14
千載悠悠
(南アルプス千枚岳)
写真15
桜花爛漫
(忍野村)
写真16
水鏡の美
(西湖)
写真17
仲秋の名月
(山中湖)
写真18
観月富士
(三ツ峠)
写真16
紅霞富士
(櫛形山)
写真17
青天快濶
(三ツ峠)
写真18
盛夏紅紫
(三ツ峠山頂)
写真16
涛声海景
(伊豆大島)

写真17
薄墨鉢巻
(箱根 大観山)
写真18
被衣笠雲
(河口湖 紅葉台)

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