ホームに戻るお雑煮文化圏お正月の食卓よもやま話私のお正月
ホームに戻るホームに戻る

お雑煮文化圏
お雑煮文化圏 日本列島雑煮文化圏図
お雑煮文化圏 現在の面白雑煮 東西南北
お雑煮文化圏 東京(千葉) vs. 大阪のお雑煮  

現在の面白雑煮 東西南北
●伝承料理研究家・神戸山手大学教授の奥村彪生先生による、『現在の面白雑煮 東西南北』 をご紹介いたします。

 明治以前の日本の食文化圏は大きく三つに分かれていた。 日本の先住民である北海道を中心にしたアイヌの人々の食文化と、琉球(沖縄)の人々の食文化、そして本州、四国・九州を結ぶ列島型の食文化である。

 従ってアイヌや沖縄の食文化の中には、雑煮文化は存在しなかった。 現在北海道には雑煮はあるが、それは明治以後、ここに移り住んだ人々が持ち込んだ文化である。 沖縄には今も雑煮文化はない。

 雑煮文化は本州・四国・九州を結ぶ文化であるが、気候風土(環境)が異なれば言葉も生活習慣も異なるように、産物も異なる。 その産物を、そこに住まう人々の嗜好に合わせて食生活が営まれていた時代であれば、おのずとそこに郷土色が出る。

 今のように恵まれた時代からみれば、生きるのも精一杯だった時代に生きた人々の生活の体臭が感じられる雑煮のベストテンを、東西南北から選んでみた。


ハタハタ漁で有名な土地であるが、それを利用せず、フグか焼アジでだしをとる。 焼いた角餅とごぼう、長ねぎを具にし、岩のりをトッピング。  まれにハタハタの塩辛からとった調味料、ショッツルで味付けする家がある。  
三陸沖で獲れる魚介類が集まる都市である。 岩手県の海岸べりの町では「ほや」を使うが、ここは焼いたワカサギをトッピングする。 すじこは東北一円で使われる。 なると、大根、にんじん、ごぼう、せりが副材だが、すまし仕立にして甘いクルミ醤油だれをつけて食べることが特徴である。 クルミだれは盛岡市でも使う。
秋田県 男鹿地方
 
岩手県 釜石市
     
 
関東は鶏を使う家が多い。 だしはかつお節だけを使う。 副材は大根、にんじん、ぎんなん。 こんにゃくを入れる家はまれにある。 すまし仕立で焼角餅。  
信州信濃、飛騨地方の人々にとって、正月に食べる塩ブリはご馳走だった。 富山→飛騨高山→野麦峠を越えて入ったブリを、山の幸と組ませた。 焼角餅、すまし仕立。 塩ブリ、焼豆腐、大根、にんじん、ごぼう、わらび、ぜんまい。 ことに わらびは笑いに通じ、穂が出るといって喜ばれる。 逆にぜんまいは穂がない(加工の時にちぎる)といって嫌われる。
埼玉県 上尾市
 
長野県 木曽郡
     
 
株を上げるに通じる、かぶらだけを具にする。 胚軸だけでなく葉も使う。 丸餅をゆで、赤味噌仕立。  
質素倹約を旨とした徳川家康の出身地だけあって実に質実。 もち菜は小松菜のこと。 角餅は煮て用いる。 すまし仕立。 菜は名を挙げるに通じる。
福井県 福井市
 
愛知県 名古屋市
     
 
頭芋、こんにゃく、焼豆腐、大根、人参の味噌仕立。 餅にきな粉をつけて食べる。  
明治以後に発展した都市なので、大阪や京都、姫路のように明治以前の伝統はない。 新しく移り住んだ人々の文化が混在している。 すまし仕立もあれば、味噌仕立もある。 すまし仕立の丸餅を取り上げたが、鶏や焼穴子が入るのが珍しい。 長田区の元捕鯨の鉋手だった家では鯨肉が入る。 京・大阪風の味噌仕立の家でも鶏が入る。
奈良県 添上
 
兵庫県 神戸市
     
 
松江市もそうだが、ここはゆで小豆を甘く仕立ててゆでた丸餅を入れる。 いわゆるぜんざい(東京でいう田舎汁粉)である。 この系統は兵庫県日本海側、ならびに揖保川筋、能登や新潟県、三重県にも点在するが、おそらく出雲地方の人たちの移動(婚姻や交流)によって定着したものであろう。  
出雲と京風雑煮が一緒になったような、まことに摩訶不思議な雑煮。 小豆餡餅と白味噌仕立の汁が思いのほか絶妙に合っている。 だしは煮干し。 大根、にんじんを添え、青のり粉をトッピング。
島根県 出雲市
 
香川県 高松市
     
 
角餅を焼くのは西日本では珍しい。 塩ブリと牡蠣が入る。  
江戸時代、外国との交流の場は長崎。 唐人屋敷もあり、中国の食文化を取り入れて日本的に融合した。 雑煮にもそのことが伺われ、中国の新しい文化と日本の文化が忽然と一体感を成している。 焼丸餅、すまし仕立。 塩ブリ、鶏だんご、干なまこ、かまぼこ、里芋、ゆで竹の子、くわい、しいたけ、唐人菜(青菜)、結び昆布。(奇数で具を揃える。)
広島県 広島市
 
長崎県 長崎市
     
 

【戻る】