泉鏡花の世界

泉鏡花「化鳥」廉
●泉鏡花「化鳥」廉
製作年度:1979年
泉鏡花「滝の白糸」白糸
●泉鏡花「滝の白糸」白糸
製作年度:1983年
泉鏡花「天守物語」富姫
●泉鏡花「天守物語」富姫
製作年度:1983年
額装押し絵・天守物語
●額装押し絵・天守物語
製作年度:1983年
サイズ:H400mm
人形芝居のパンフレット扉のための製作。

 「八犬伝」の頃、「鏡花全集」が出て、それから読みふけって、今日、いまだに心酔しております。
 人形芝居も6本ほど発表しました。鏡花氏とは、同じ水のと酉の生まれで、60年ほど離れておりますが、水に縁の深い年回りです。

 私は小さい頃から、母親に教わって自分の干支の酉の真向かいの干支の兎を集めていたのですが、鏡花氏も兎を収集しているのを知って、驚いたものです。子供の頃、きものの襟の裏に、兎のお守り袋をつけてもらっていたのを、思い出します。
 夜に新しい下駄をおろす時は、墨で下駄の裏に、耳の長い兎の絵を書いてくれたのも、もう遠い昔のことになりました。

 鏡花作品にふれるようになって、私の趣味や嗜好、ものの考えかたが、それ以前と随分と変わってきたように思います。
 さがしているものに、やっと出合ったような感じです。
 その名前のとおり、鏡の向こうの泉の水に、花を写してみるように、ひとの目をまどわしてしまう魔力があるのです。
 ちょうど、人形の存在にとてもよく似ています。
 そこに写っている花が、自分の顔になっていて、つい襟を立ててしまう。
 鏡に写る自分の姿に、心の貧しさや、精神の軟弱さをみつけだして、ハッとすることがあります。


★1978年頃から辻村ジュサブローは泉鏡花に深く傾倒し、創作人形「万華鏡花」として10点ほど人形を発表、また人形芝居として「葛飾砂子」「風流蝶花形」「化鳥」「海神別荘」「天守物語」「剃刀」等の作品を脚本、演出、美術、出演全て自身の手で行い、全国各地で上演、幻想的なジュサブローの世界を確立し、大人が楽しめる人形芝居として昇華させた。
また、同じ時期に蜷川幸雄演出の数多くの舞台衣裳、アートディレクターを手がけ(王女メディア、蜷川マクベス、近松心中物語等)日本国内のみならず海外でも大変高い評価を受けた。


back