第八章 近世の伊丹の姿
〜発掘でみる有岡城〜
川口 宏海

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 私は今から十年程前から、伊丹市の教育委員会からいろいろとお話をいただきまして、大手前女子大学の藤井先生と一緒に、伊丹の特に街中、有岡城と伊丹郷町の発掘をさせていただいております。  十年でいろいろとわかってきたことがありまして、以前に私どもの稲野にあります大手前女子短期大学でシンポジウムをさせていただいたこともあるんですが、今日はその話と半分ぐらい重複したようなお話になるかと思うんですが、あと半分ぐらいは新しいお話を入れております。タイトルにあります近世の伊丹の姿ということなんですが、有岡城の特に発掘の成果というものを、皆さんにお話させていただきます。それとついでながら、発掘のお話というのは藤井先生と私だけかと思いますので、発掘はどんなふうにするものかということも、少し触れながらお話したいと思います。それと、有岡城がこの近くのお城と比べたらどうなんだという話を、少し追加をしてお話をしていきたいと思います。

 有岡城の全体像
一 本丸(主郭)とその周辺
(1) 本丸(主郭)の構造
 まず最初に、有岡城がどんな姿なのかということをお話したいと思います。  図(1)は、江戸時代寛文九年(一六六九)に書かれた伊丹郷町の絵図なんですが、これが古い時代の有岡の姿を非常によくあらわしております。絵図といいますと、実はこれ以前の文禄年間(一五九二〜九五)の絵図というのがあるんですが、これは古野将まさ盈みつが江戸時代後期に、文禄年間はこうだったというふうに想像しながら、ある程度実証に基づきながら作った図でありまして、実際上は、一番古いのはこの寛文の絵図になります。

 これは城の部分が非常に詳しく書かれておりますので、この図を使って少し説明をしていきたいと思います。江戸時代のものですから、城がなくなった後の江戸時代の姿を描いているわけなんですけれども、それ以前のお城があった時代のことをかなり詳しく書き留めてありますので、これを使います。上が北、右が東、左が西、下が南、ということになりますが、有岡城というのは、ご承知のとおり伊丹台地と呼ばれるこの辺りの台地上の、一番東の端の一番高い所に築かれております。ここから東の方は崖になっておりまして、そこから田んぼの形がずっと描かれていまして、猪名川に至るんです。この辺りは田んぼがつくれる、いわゆる低地ですね。湿地とまではいかなかったと思いますが、かなりじゅくじゅくした所であっただろうと思います。

 一番真ん中に、本丸があります。実をいいますと、江戸時代に本丸、二の丸、三の丸という言い方ができあがるんですが、それ以前は本丸といったかどうかはよくわかりませんので、私どもは専門用語として、主郭、第二郭、第三郭というふうな呼び方をします。ここではわかりやすいように本丸と申しておきますが、この本丸が四角い形で描かれておりますね。ここが今でいいますと、JR伊丹駅のある場所でありまして、ご承知のとおりこの本丸は大部分が伊丹の駅、それが線路をつくるときの工事によって、失われております。いま実際に公園になっておりますのは、本丸の北西隅とその西側にあります堀です。

 それから、天守土台と書かれてあるところが、今の”忠魂碑”の辺りではないかというふうにいわれております。もし鉄道があそこになければ、またもう少し東の方にあれば、全部残っていたのになあ、と非常に残念に思います。この本丸の周りというのは、松の木が描かれていまして、いわゆる土塁というもので取り囲まれていたようであります。北西の角には松の木がありまして、その下には、しょぼしょぼと線が描かれております。これはおそらく竹藪じゃないかと思います。城は比較的竹藪が各所に植えられております。どうしてかといいますと、当時竹は、非常に武器武具によく使われます。例えば弓矢の矢柄でありますとか。そういうものはすぐに調達できるように、城の周りに植えてある。何かあると、それを刈り取りまして使います。

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